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【産廃コトバ図鑑 Vol.4】 リサイクルにも“三つの道”がある?「マテリアル・ケミカル・サーマル」使い分けてますか?

#コラム

2025.12.05

【産廃コトバ図鑑 Vol.4】

リサイクルにも“三つの道”がある?「マテリアル・ケミカル・サーマル」使い分けてますか?


「この廃プラ、マテリでいける?」
「いや、汚れ強いからケミカルに流そう」
「それも無理ならサーマルで回すか」

——そんな現場の会話に出てくる3つのキーワード。
それが産廃業界における三大リサイクル方式:

  •  マテリアルリサイクル
  •  ケミカルリサイクル
  •  サーマルリサイクル

この3つ、すべて“リサイクル”だけど、内容も目的も違うんです。

1. マテリアルリサイクル:そのまま素材に戻す

最も王道的なリサイクル方法。
廃棄物を機械的に処理し、もう一度「素材」として再利用する方法です。
たとえば:

  •  廃プラスチック → ペレット → プラ製品
  •  金属くず → 精錬 → 新たな鋼材に
  •  廃木材 → チップ → ボード原料

原形は変えても“物質そのもの”は使い続ける、循環の基本ルートです。

2. ケミカルリサイクル:化学の力で“分解・再合成”

廃棄物を化学的に分解し、モノを構成している化学物質レベルに戻す方法です。
たとえば:

  •  廃プラスチック → 熱分解 → 油・ガス
  •  PETボトル → モノマー → 再生PET
  •  難リサイクル系混合プラ → ガス化 → 合成燃料

マテリアルではリサイクル困難な素材でも、ケミカルなら再利用可能なケースが多いのが強みです。
近年は、CO₂削減や脱炭素に向けて「高度ケミカルリサイクル」の研究も活発です。

3. サーマルリサイクル:燃やして熱回収

廃棄物を燃やし、その際に出る熱を回収して利用する方法です。
たとえば:

  •  焼却熱をボイラーで回収し、蒸気・発電に利用
  •  廃熱を地域暖房に活用
  •  セメント工場で熱源として代替燃料に使用

「素材として使えない」「分解できない」ものでも、エネルギーとして有効利用する最後のリサイクル手段です。

3つのリサイクル、どう使い分ける?

種類 主な特徴 優先度
マテリアル
リサイクル
素材そのまま再利用 ★★★
ケミカル
リサイクル
化学的に分解・再構成して再利用 ★★☆
サーマル
リサイクル
熱としてエネルギー回収 ★☆☆

※ 環境省などの3R・循環経済に関するガイドラインでも、マテリアル > ケミカル > サーマルの優先順位が基本とされています。

まとめ:「リサイクル=良いこと」だけでは足りない

リサイクルには「マテリアル > ケミカル > サーマル」の優先順位があるとよく言われますが、
それはあくまで原則論。
実際の現場では…

  •  再生のために過剰なエネルギーや薬品を使うケミカルリサイクル
  •  マテリアル再生しても品質が低く再利用が難しいケース
  •  距離や設備条件によってサーマルの方がCO₂排出が少ない事例

など、物によっては“下位のリサイクル”の方が環境負荷が小さいこともあるのです。
だからこそ大切なのは、

「形式的な優先度」ではなく、そのリサイクル方法が“本当に意味のある循環”につながるのか?

という視点です。

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