「水を飲んでいるから大丈夫」では足りない。猛暑の工場で本当に必要な熱中症対策
猛暑の工場や作業現場では、
「水分はちゃんと摂っています」
「塩分タブレットも食べています」
という声をよく聞きます。
もちろん、水分・塩分補給は熱中症対策の基本です。
しかし、水分と塩分を補給しているだけでは、熱中症を防ぎきれません。
熱中症で重要なのは、体の中に熱をためないことです。
水を飲んでも、体に入った熱がすぐ消えるわけではない
人間の体は、汗をかいたり、皮膚から熱を逃がしたりすることで体温を調節しています。
ところが、気温や湿度が高い工場内で長時間作業していると、体から逃がせる熱よりも、体に入ってくる熱のほうが多くなることがあります。
その状態で作業を続ければ、水分を十分に摂っていても体内に熱が蓄積していきます。
つまり、
「水を飲んでいる=熱中症にならない」ではありません。
水分・塩分補給と同じくらい、
「休む」「風を当てる」「涼しい場所へ移動する」「体を直接冷やす」
という対策が重要です。
「暑くなったら休む」では遅い
工場では、
「しんどくなったら休憩して」
「気分が悪くなったら言って」
という声掛けだけでは十分とはいえません。
熱中症対策で重要なのは、
暑くなりすぎる前に休むこと。
体温が上がりすぎる前に冷やすこと。
本人が「まだ大丈夫」と思っていても、暑熱環境下で作業を続ければ、体には少しずつ熱が蓄積していきます。
だからこそ、本人の感覚だけに任せず、計画的に休憩と身体冷却を取り入れる必要があります。
扇風機も活用する。ただし「風があるから大丈夫」ではない
工場では扇風機による送風も活用しましょう。
汗をかいている状態では、風を当てることで汗の蒸発を促し、体から熱を逃がす助けになります。
ただし、工場内そのものが非常に高温になっている場合、扇風機だけに頼るのは禁物です。
扇風機+休憩+水分・塩分補給+身体冷却。
複数の対策を組み合わせることが重要です。
氷のうは「熱中症になった人のため」だけではない
工場でぜひ活用したいのが氷のうや保冷剤です。
首、脇の下、足の付け根などを冷やすほか、休憩中に手のひらを冷やす方法もあります。
ポイントは、
「具合が悪くなってから使う」のではなく、「具合が悪くなる前から使う」こと。
氷のうを救急用品として置いておくだけではなく、暑熱対策用品として日常的に使える環境をつくることが大切です。
熱中症対策を「本人任せ」にしない
そして、工場の熱中症対策で最も重要なのがここです。
熱中症対策を作業者個人の自己管理だけにしないこと。
「水分を摂ってください」
「無理しないでください」
「体調が悪かったら言ってください」
これだけでは、会社として十分な対策とはいえません。
現場責任者・管理者は、以下のような対策を現場の仕組みとして実施する必要があります。
- 暑さの状況を確認する
- 休憩時間を確保する
- 休憩場所を涼しくする
- 扇風機などで風を確保する
- 水分・塩分を補給できる環境を整える
- 氷のうや保冷剤を準備する
- 作業者同士で体調を確認する
- 体調不良を言いやすい雰囲気をつくる
- 必要に応じて作業時間や作業内容を変更する
「頑張れる人」ほど注意する
熱中症は、体力がない人だけがなるものではありません。
責任感が強い人や、「これくらいなら大丈夫」と我慢してしまう人ほど、体調不良を申告せず作業を続けてしまうことがあります。
だから管理者は、
「本人が大丈夫と言っているから大丈夫」
で判断しないことも重要です。
顔色、発汗の状態、動き、受け答えなど、いつもと違う様子がないか周囲から確認する。
そして少しでも異変があれば、作業を止めて冷やす。
安全を優先する判断が必要です。
猛暑日の合言葉は「飲む・休む・冷やす」
熱中症対策というと、どうしても「水分補給」が中心になりがちです。
しかし、本当に意識してほしいのは、
飲む。
休む。
冷やす。
この3つです。
手短に、「飲んでいるか?」だけではなく、
「休めているか?」
「体を冷やせているか?」
「体に熱がたまっていないか?」
まで確認する。
「水を飲んでいたのに熱中症になった」をなくすためには、水分・塩分補給だけに頼らず、体温を上げすぎない現場づくりが必要です。
熱中症は、症状が出てから対処するのではなく、症状が出る前から休ませ、冷やす。
猛暑の工場では、作業者本人だけではなく、管理者を含めた全員で熱中症を防ぐ。
この意識を徹底していきましょう。